西遊記人物紹介(岩波文庫版を基本とする)



西遊記 ちょー基本(初心者仕様)
・主な舞台は中国、唐の時代。
・でも天には神仙、西には仏祖、冥府もあれば竜宮もあり、山河にはたいてい妖怪が棲む。
仏教道教(ちょっと儒教)ちゃんぽんなすっげファンタジー。

1;東の果てで石からサル…っぽい妖が誕生→孫悟空。
2;悟空、地上で妖魔の王となり、天界でも大暴れしたのでお釈迦さま登場。
→お釈迦さまに負け、山の下敷き500年。
3;お釈迦さまが地上の4大陸のうち1つだけすごく堕落してるから善い教えを広めてやりたい、
と仰ったので西天取経プロジェクト発動。陣頭指揮は観音菩薩さま。
4;んで選ばれたのが三蔵法師。
5;そのころ、唐の皇帝がぐーぜん(??)臨死体験をしたせいで、仏教をやたら信じるように
なってた。
→西天取経プロジェクトに知らず参加。三蔵に「経を唐に持ち帰ってくれ」と熱心に頼む。
6;観音、三蔵の護衛に妖怪を使おうと、通りすがりに天下った(笑)罪状持ちの妖を4人選びだす。
7;そんなわけで三蔵、観音のはからい(?)で妖怪弟子をゲット。
一行は邪魔する妖怪だらけの道を天竺までがんばって旅する。14年間。
8;三蔵の苦難の旅、というよりは悟空の苦難の旅。
9;最後、一行は無事お釈迦さまのところに辿り着き、経典をもらって唐に持ち帰る。
めでたしめでたし。

         
斉天大聖・孫悟空
(唐の時代から)五百年前、天界で大暴れし、釈迦に負けて山の下敷きになった。後に観音に諭され、三蔵の護衛をする成り行きに。以後三蔵の弟子として懸命に師匠を守護する。天仙関係者には天界での呼び名「斉天大聖」の他、大聖、孫大聖とも呼ばれる。天界での一番最初の役職「弼馬温/ひっばおん」(=馬飼い)と呼ばれるのは大嫌いで、怒らせたいときやからかう時に使われる。傲岸不遜な性格のため師匠とは誤解や衝突が多い。

<生まれ>
東勝神洲、傲来国の花果山にある仙石より、天地霊気が凝縮して生まれた生粋の妖。見かけが猴(サル)のようなので石猴と呼ばれるが元来本当の猴ではない。身長4尺足らず(約120cm)、背格好は托鉢の小坊主のようで、あだ名が小坊主=行者となる。妖怪どころか人間にさえ鼻で笑われるほどチビで痩せっぽち。
有名な特徴は「火眼金睛(かがんきんせい/あかめ)」、太上老君の八卦炉に処刑でぶちこまれ49日間も燻されたせいで眼が赤く染まった(瞳は黄金色)。おかげで煙が大の苦手。
自慢は72般の仙術。とんぼ返りひとつで十万八千里のキン斗雲を始めとし、何にでも変化でき、山をかついだり海をひっかきまわしたりはお手の物。なまじの武器では傷もつけられない金鋼の躰を持ち、武器は如意金箍棒・重さ一万三千五百斤(約8t)、天界の軍将たちも恐れ戦く豪腕、十万の兵をも蹴散らした猛者として名が轟いている。
唯一の弱点は、緊箍(キンコ)=頭の輪っか。騙されて嵌められ、以後いかなる外力でも外れない仕様に。呪文を唱えると頭を絞め付けヒドイ痛みをもたらす。実のところ、三蔵の苛立ちや八つ当たりで気軽に使われており、また、戒めという本来の目的であってもおおむね理不尽な状況(誤解や冤罪)が目立つ。呪文は釈迦如来・観音菩薩と、三蔵しか知らない。
ちなみに、三蔵に負けず劣らず躰は清い(笑)。生まれながらに菜食、女経験ゼロのまま、という意味で、だが。殺戒を入れてしまえばそりゃ一番血みどろwwだけど。

<基本性格>
自称は「孫さま」基本。もしくは「おれさま」。時と場合によっては「わたくし」などと遜(へりくだ)るが総じて態度はとってもデカイ。ウルトラ短気で超強気、生来の豪胆さと容赦の無さ!で四海竜王や山神・土地神たちを顎でこき使う。
また、たいへん遊び好きのイタズラ好きで、西洋でいう妖精そのもの。もとの気性は無邪気で素直、かつ熱心でマジメだが、このイタズラ好きと短気が高じて問題を引き起こすことが多々あり。
仁義にはたいそう篤く、天界・仙界では非常に顔がきくので妖怪退治の協力者には事欠かない。
天界の者たちが(友人付き合いが無い者さえ)揃って「斉天大聖」に無条件で従うのは、500年前の大閙天宮騒ぎ以降、その強大な実力と気性が天界中に広く知れ渡っており、玉帝すら悟空の奔放ぶりをあるていど許容・黙認しているから。
陳玄奘(唐三蔵)

唐の太宗皇帝に「大乗仏教の経典を天竺からもらってきてくれ」と頼まれて西天への旅に出た、高僧。 その正体は、釈迦の二番弟子だった「金蝉子/こんぜんし」の10回目の生れ変り。 徳の高く清い僧侶は「食ったら不老長寿間違いなし」と妖怪たちが涎垂らすレアもので、三蔵の行く手には噂を聞いた妖怪が目を光らせて待っている。また女怪だと「イイことしましょv」になる時も。 凡胎ゆえ、雲に乗せてもらうなどのズルはできず、西天までの道のりを地道に歩くのは試練。またその道のりでの災難も全て試練であり、避けて通れないように設定されている、…当人は預かり知らぬことであるが。 ところで師父の絵が異様に小さいのは切り取りミスというか、…ちっさくしすぎて直せなくなった、…すいません。

<生まれ>
父親は盗賊に殺され、母親がその盗賊にぶんどられたせいで、産まれてすぐに母親と生き別れた。故に孤児として僧院に引き取られ、育っている。盗賊に子供(三蔵)を殺されたくなかった母親が、目印にと足の親指をかみきって(…)河に流したので、親指がかたっぽ無い。…つうか目印って、もうすこし違う方法なかったんだろうか…。
色白でふっくら系の美男子、と何度も形容されてるので妖怪たちには多分とっても美味しそう(笑)に見える。

<基本性格>
争いごとが嫌いな反動か大変臆病。+非常に世間知らずで頑固さが加わる。不思議と八戒をひいき気味、反して悟空相手には奇妙に八つ当たりが激しかったり、と、あまり普段の行動には「徳高い清らかな坊さん」という印象は見えない。凡胎であるがゆえに常に災難の中心となってしまうのは仕方ないにせよ、騙されても騙されても懲りない三蔵の性格は、悟空がたとえ短気に過ぎるのを差し引いて考えてもちょいと我慢ならん欠点かな、と。ま、そこがイイという意見もあるだろうが。
弱者にはどこまでも慈悲ぶかく、ゆえに自ら災難に飛び込むようなこともしばしば。そしてその正義感で悟空をあごで使う(笑)、と。人殺しの盗賊でさえ命を惜しむ筋金入り。自分の身を案じるというよりは「死んだら西天に行けないので困る」という、どこまでも目的主義な信念がいっそかっこいい。
猪悟能(八戒)

もとは天界の軍将「天蓬元帥/てんぽうげんすい」(天の河の水兵八万を率いていたという)。酒のはずみでジョウガ(月の仙女/「女常女我」と書く)に悪戯し罰として下界に落とされた。たいてい天界人が下界に落とされる=地上の生き物への「生れ変り」を意味する。八戒は間違って野豚の胎に落っこち、豚になってしまった。観音に諭され、三蔵の弟子になる約束をした。八戒はあだ名、ちなみに悟空は行者、悟浄は和尚というあだ名を持つが、二人はあまり呼ばれず彼だけがあだ名呼びというのは面白い。 今さら説明の必要もないと思うが、とにかく怠け者で欲深でおまぬけ。でも悪気はちっともない。

<生まれ>
実は妻帯経験あり、しかもバツ2。(一人目の奥さんとは死別。二人目とは仏門に入ったときに離縁)観音菩薩が通りかかって帰順を諭したときは野っ原で人間かっさらって喰うごろつき(笑)妖怪だったが、三蔵と悟空が通りがかったときは人間に化けてちゃっかり入り婿してた。…けど結局本性出しちゃったので、義父が「うちの入り婿の正体は妖怪で娘を監禁してるから退治して」と悟空に頼んだ、という成り行き。名前ももういっこあって、初めは「猪剛リョウ(チョゴウリョウ)」と名乗っていた。

<基本性格>
基本プライド高く、しかしプライドの割にはめんどくさがりで他力本願、とにかく強欲で図々しく、仏門に入ってからも色気と食い気をまったく捨てられない、いわば俗物の象徴とも言える存在。…と、言葉で切り捨ててしまうと、謙虚さや清貧さを美徳とする日本人にはあまり好かれぬ要素ばかりが目立つが、実は不思議と憎めない愛らしさ(笑)を持つ大事なムードメーカーでもある。くだらないギャグを飛ばしたり調子はずれなことをしでかしたりするのも、愛嬌のうち。悟空とはしょっちゅう諍いを起こしているようで、そのくせ妙にべたべたと手をつないだり連れ立って遊びにいったり、と親密さを見せる場面もあり、ついその真意を計りたくなる。
沙悟浄

もとは天界で玉帝のお車付き「捲簾大将/けんれんたいしょう」。(捲簾とは御簾の上げ下げの意で、要は傍仕えの護衛隊長)。うっかり玻璃杯を割った罰で下界に落とされ流沙河/るさがの人喰い妖怪と化した。また、今まで西天への取経僧を9人食らい、その骸骨を首から下げていた(この骸骨は流沙河を渡った後に消滅する)。三蔵は10人目の取経僧。金蝉子こんぜんしの生れ変り回数と同じなのでその9人は彼のこと、とも考えられる。観音に諭され仏教に帰依して罪を償うために三蔵一行に加わることになった。 度々衝突する他のメンバーをなんとか取り持つ制御役。

<生まれ>
流沙河で妖怪として生まれ直したあとも、「七日に一度、剣で脇腹を百回も刺される」というなんだかすごく具体的wwな天罰を受け続けていた、筋金入りの受難者。ふつー七日に一回ずつ剣で百回もぶっさされてたら四六時中血まみれ、あっちゅう間に死にそうなんだが、…痛みだけで傷はない、っつうご都合な天罰と解釈するしかあるまい。しかも、そんな痛々しい刑罰を耐え忍び…というよりは「漫然とただ受け」つつ、腹が減るたびに旅人を食料にし、挙げ句喰い終わった坊主の骸骨を首飾りにして暇つぶしwwにもてあそんでいた。

<基本性格>
大人しくて地味、とどの「西遊記」解説書でも一様にかかれるが、それはきっと、残りのメンバーがあまりに特色ありすぎな性格をしているため比較されてしまうだけ。…つまり、それほど性格は大人しくもないし、地味と一言で片付けるにはけっこう熱血漢じゃないかなあ、と。ついでに見かけはぜんぜん地味じゃない、むしろ怖い。ここではまっとーな人間姿描いちゃうけど、ほんとはもっと強烈に怖い容姿。
岩波版悟浄の性格を一言でいうと「忠犬」。師父を敬い、「西天取経の旅」を非常に重要な修行と思っている。(悟空はとにかく三蔵のボディガード&妖怪退治が仕事と思ってるし、八戒は常時めんどくさがり)
また、なにより師兄である悟空の能力を高く評価し、また彼の行動を強く信じている(たとえ三蔵が信じなくても)。
決して社交的なタイプではないが、相手に合わせて言葉や態度を選ぶ思いやり(したたかさとも表裏一体)を持ち、仁義と道徳心もそれなり。こんなんでよく昔は人食い妖怪だったもんだ、よほど師父に感化されたか。あるときは身を捨てて師兄を庇おうとしたり、公主を救うために命を賭けたり、と実は裏でかなり熱血漢してる。
一度悟空に裏切られたと勘違いしたときはすごい勢いで怒りまくり、悟空相手!に杖で打ちかかった(なんという命知らず)。…ついでにこのとき悟空はそれを受け止めず、口答えすらせず黙って横に避けたのだが、破門され行き場がなかった悟空が悟浄にまで攻撃され、いったいどんな心情だったのやら実はかなり気になるのだった(間違いなく、他の相手だったら「何すんだ!」と怒るとこだろうに…)。
あ、八戒のことは兄貴と呼んだり呼びつけたり、悟空と一緒になってからかったりとけっこうちゃっかりです。仲は良い、が、兄弟子と弟弟子とはとても見えず。
玉竜(白馬)

西海竜王の三男。竜宮殿の大事な珠を燃してしまったので(燃えるのか?)死刑に処されるところを観音に助けてもらった。そのかわり取経僧の馬となって罪を償いなさい、といわれ一時地上に放流。肝心の三蔵たちが通りかかったときにそれと知らず襲い掛かって悟空とドンパチやらかす。一行に加わった後はただ2度だけ口を聞くがそれ以外はいっさい関わりを持たない傍観者。もっと出番プリーズ。

<生まれ>
四海竜王にはそれぞれたくさんの子供たちがいて、孫もいて、成人するとそれぞれ適当な河やら泉やらに配属?されるらしい。が、玉竜は配属前に処刑されるところだったので持ち場は無し。ところで、悟空は幾度となく西海竜王当人や、その嫡男「摩昂」に助力してもら(…というか割とこきつかい…)ってるのだが、竜王も摩昂太子も、玉竜のことは丸無視なのが非常に残念。すごく近い身内なのにな。既に絶縁ってことなんだろうが、シビアだ。
ところで、玉竜は普段馬だが、竜や人形をとろうと思えばいつでも出来るらしい。さすが、竜王家の一員だっただけはあって武術も基本は心得、剣の舞も披露していた。が、やっぱり所詮はぼっちゃん、というレベルにて惜しい。

<基本性格>
大人しくて地味、というのはこの玉竜のこと。もっとも馬として口を聞くことすら許されず、三蔵の弟子としてではなく、仲間というよりは完璧「乗り物」としてのみ観音に役目を申しつかってしまったから仕方ない苦行なのだろう。それを忠実に守り、三蔵が妖怪に攫われても師兄たちが仲違いをしていても、決して口を出さない忍耐力の持ち主。…というより筋金入りのぼんやりなだけかも。 ぶっちゃけ、三蔵や悟浄よりも数段「朴訥で純真」な性質ではないかと思われる。三蔵の見てないところで、兄たちと実はこっそり雑談でもしてたのなら、それはそれで萌えなんだが。







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サブキャラ紹介/封神演義でもおなじみ道教系キャラが西遊記にも